髪の毛をすきバサミで、すくことのメリット・デメリットとは?

髪の毛が多くて重いヘアスタイルに、すきバサミで軽くしてヘアスタイルをつくることがあります。

確かに髪の毛が多くて、もっさりしてしまうとオシャレ感がなくて、野暮ったいヘアスタイルになってしまいます。

髪の毛の毛量と顔の面積とフォルム(形)が、バランスよく仕上がっているとオシャレなヘアスタイルに見えるものです。

バランス良く見せるための一つのテクニックで、すきバサミで「すく」ことは大切な技術の一つではあります。

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ただ、このような髪の毛を「すく」というのは、本来テクニックと髪質に合わせて髪の量を調節するためなので、やみくもにすいてしまうと髪の毛がパサパサになってしまいまとまりが悪くなってしまいます。

髪の毛を軽くするためにはプロの美容師は、すきバサミ(セニングはさみ)や替え刃レザー、はさみ(シザー)などを使い分けています。

髪をすくと傷むということをよく聞きますが、正しい知識を知れば、髪をすいてもらっても痛みは少なくてすみます。

その「すく」技術のメリット、デメリットとはどのようなことなのか?をお伝えしたいと思います。

髪の毛を梳くというメリットとデメリットとは?

【こんにちは。美容歴35年2万人以上のお客様に接してきた美髪アドバイザー・美容コンサルタントの森久美子(@morikumikonoie)です】

髪の毛の量が多い人は、大体の人が美容師さんに「髪の毛の量を減らして、ボリュームを抑えてほしいです」というオーダーをするのではないでしょうか?

そこで、髪の毛を「すく」というのは、毛量を減らすことはもちろんですが、他に、ボリュームやふくらみを抑えたり浮いた髪やクセなどを落ち着かせたい時にするカット技術です。

ヘアスタイルを仕上げた後にすいた事によってまとまり良くなってくれるので、「すく」技術は実は美容師にとって高度なものだと私は思います。

カットをしてすいているときは、仕上がりをイメージしながらすいていきます。髪の毛を軽くするだけではなくすいた事によってスタイルが決まるのでそのために失敗は許されないのです。

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このすく時に使用するはさみが、一般では「すきバサミ」と言われて、美容師のプロが使用するときは「セニングバサミ」と言われています。普通にカットする時のはさみは「シザー」と言います。

このセニングバサミというのは、シザーと呼ばれるはさみと違って動く刃のほうがクシ状になっていて、ギザギザに切ることができるようになっています。

このようなセニングバサミには、「スキ率」があります。このスキ率とはハサミでつかんだ髪のうちのどれ位が切れるかということです。

ギザギザでカットされることで、間引きしてカットすることができます。「すく」ということはセニングバサミで間引くということになります。

美容師でこのセニングバサミを持っている人は、最低一本は持っていますが、スキ率にこだわる美容師さんは数本使い分けている場合があるんですよ。

また、「すく」ということで髪の毛を軽くできると思って気軽に「すいてください」とオーダーして、仕上がったスタイルがすいてくれたから、スッキリしたと思ったらかえってボリュームが出てまとまりにくくなってしまったということを経験した人がいらっしゃるかと思います。

これは、「すく」=「減らす」だけでお客様が思っていると、美容師側の「すく」とお客様とのイメージのスタイルがマッチしないことになってしまったことが原因でしょう。

髪の毛の長さを短くしないで髪の毛の量をへらし、軽くするという目的としています。そのため髪の量を減らしたい時にセニングバサミでカットをする、ということが一般的になっています。

ただ、ヘアスタイルを作るときはセニングバサミだけで、良いイメージに軽さを出せるか?というと私はちょっと違うかなと思っています。

「すく」という行為だけで軽くはなりますが、間引きをするだけなので、長さは変わらず量だけが減ります。もちろんこの方法は正解ですが、スタイリングを形づけるとしたら、セニングバサミだけでなく、シザースも使って髪の毛を軽くすることもありますしレザー(カミソリタイプ)を使って軽くすこともあります。

では、すきバサミ(セニングバサミ)のメリットとデメリットはどのようなことが挙げられるでしょう?

☆メリット

・髪の毛の量が減らせる、軽くなる

・パツンとしたカットラインをぼかすことができる

・髪が動きやすく仕上がる

・毛先のぼかしや馴染ませるのに効果的

・軽くなって乾かすのが早くなる

・ヘアスタイルにメリハリが出る

☆デメリット

・パサパサになりやすい(ダメージ毛に見える)

・まとまりにくくなる

・はねやすくなってしまう

・カットラインが消えてしまう

・梳き過ぎるとペラペラになってしまう

・長さが短くなってしまう

という、以上のようなことが言えるかと思います。

このメリットとデメリットを理解してカットができる美容師さんなら、上手く使い分けてヘアスタイルも素敵に仕上げてくれると思います。

髪質やクセ、毛量などは十人十色なので、絶対に梳かないほうが良いと言えないですし、逆にすくことで髪の毛が綺麗にまとまってくれることもあるので、一概には言い切れないということです。

自分を素敵にしてくれたら、どんな技術もOKっていうことではないでしょうか~?!

髪の毛を梳く時の注意点は?

髪の毛をすいたら、その後の髪がパサパサして傷んだように感じるという経験があるかと思います。

これはデメリットとして梳き過ぎてしまった可能性があるかもしれません。

ただ、必要以上に梳き過ぎてしまっただけでなく、もしかしたらすきバサミ(セニング)のお手入れが行き届かなくて切れ味が悪かったことも考えられるかもしれません。

髪の毛を切る「カット」という行為は、傷んだところを切って綺麗に整えるという印象があると思いますが、実は切った(カット)した瞬間から髪の毛は傷んでいるのです。

このカットの瞬間で、切れ味がとても良いと髪へのダメージは減りますが、刃が悪いと切れ味も悪くかえって髪の毛を痛めてしまうこともあるのです。

髪の毛を「すく」時に、毛量やヘアスタイル全体のバランスを考えながらすいていきます。

根元からザクザクすきバサミですいてしまうと、根元が膨らんで毛先がペラペラになってしまうので、やみくもにすきバサミを入れることは危険です。

髪の毛は生きている限り、伸びています。伸びてきた状態も考えておかなければヘアスタイル全体のバランスが悪くなってしまいますから、髪の毛を「すく」時は特に伸びた時のことを考えることが大切なのです。

では、美容室に行って、軽く梳いてもらってからその後また美容室へ行って更に梳いてもらった方が良いのでしょうか?

答えは、”イエス”でも”ノー”でもなく、その時の髪の毛の伸びてきた状態によってになるんです。

前回の梳いたところから、”今”がどのようになっているか?で必要性があるかどうかを決めることになります。

また、自宅でセルフカットまたは、親子で子供のカットをするときに、前髪を軽くしたい時やお子様のカットをするときに、すきバサミ(セニングバサミ)は、活用できると思います。

前髪だけに美容室へ行くのも・・・という時に自分で前髪をカットするときにすきバサミは便利でしょう。

ー前髪のカット方法ー

・カット前に一度濡らして前髪を整えてから。濡れて切りづらい場合は乾いた状態でもOKです。(ただし切れ味が悪いとパサつく可能性があります)

・前髪を内側と外側を分けて(ブロッキング)行うと失敗が少ないです。

・内側をまずすきバサミで、左右から毛先をザクザク軽くすきバサミで切ります。

・真ん中を毛先にすきバサミでカットします。

・内側の長さが短くなってしまっても被せてくる外側の前髪で調節できます。

・外側の前髪を下して毛先からすきバサミを毛先から斜めにすきバサミを入れます

ぼかしながらカットをするので、失敗が少ないと思います。

ーお子様でのすきバサミの活用法ー

・男の子の場合は、全体に耳周りから襟足など普通にカットします。この時指一本分を頭皮につけて髪の毛をすくってカットをすれば危険度は下がります。

・ある程度短く切ったら、毛先にすきバサミを入れて毛量を調節していくとぼかすことが出来てまとまりやすくなります。

・女の子の場合は、髪の毛の多い子に必要ですが、髪の毛が細い子には必要ないので、普通にハサミで毛先を切ってあげると良いでしょう。髪の毛の多い子に、すきバサミを入れる場合は、表面の髪の毛にはすきバサミを入れないで、内側のみにすきバサミで中間から毛先に軽く入れると良いです。

はさみの切れ味が悪いと髪の毛を折って引きちぎるような感じでカットをしてしまいます。それでは髪の毛へのダメージは大きく枝毛になりやすい毛先になってしまいますので、はさみの選び方も大切です。

髪の毛はとてもデリケートですので、使用する道具は丁寧に扱うようにしましょう。

髪の毛を痛めないで梳く方法は?

美容室ではなく、セルフで髪をカットしたり髪をすいたりする場合、髪の毛を痛めないようにしなければいけません。

髪をすく道具を事前に用意しておきましょう。

ヘアカット用はさみ、すきバサミ、コーム(目の細かいものが良いでしょう)、髪を留めるクリップ、水スプレーなどです。

髪の毛にくせのない髪質はそのままハサミを入れてカットしても良いですが、くせ毛の場合は一度濡らしてから切ることをおすすめします。くせ毛をナチュラルな状態にしてカットすることでバランスよく切れると思います。

横(サイド)の髪をすく場合は、跳ねやすくなるのですき過ぎないように注意しましょう。もし、重いところを少し軽くしたいと思うようでしたら、髪の毛を3回転ほどねじってすくと自然な仕上がりになります。

セルフカットで、注意することは・・・

・切れ味の良いハサミ、すきバサミを使用しましょう

切れ味の悪いハサミを使用してカットすると、髪の毛が折れてしまったり、中途半端に切れてしまうことがあります。そのため髪の毛が傷つき痛む原因となってしまいます。

・すきバサミの「すき率」(ギザギザの部分)に注意しましょう

すき率というのは、一度のカットで切れる髪の毛の割合です。割合(ギザギザの細かさ)が大きければ大きいほど一度で切れる髪の量は多くなります。セルフカットでする場合は、すき率が高いとすきすぎて、思った以上の髪の量が減ってしまうので注意しましょう。

・表面をすかないようにしましょう

髪の毛の表面をすいてしまうと、表面が不揃いになって髪の毛がはねてしまったり、広がったりまとまりにくくなってしまいます。見た目もパサついた感じになってしまいます。髪の毛をすく時は、内側の髪を重いなと思う部分を少しずつパネルで取って中央から毛先の方へとすきバサミを入れましょう。パネルを取る量に注意することと、すきバサミですいたら確認をしながらすき進んでいくと安全です。

・厚みのある束の髪をすかないようにしましょう

パネルの量が厚みがあるとハサミに無理な力が入り、髪に負担がかかり傷みやすくなってしまいます。プロの美容師でさえ髪の量を調整するときは少しずつ微調整しながらなのです。セルフカットの場合は、そこまで常に確認しながらすくことが難しいと思います。できるだけ一気に仕上げようとしないで、何度も確認をしながらすすめて仕上げていくことで失敗も少ないと思います。

・ハサミを横にしないで斜めにしてみましょう

すきバサミを斜めにいれることで、イレギュラーにすくことができます。横に一列にすくよりも斜めに切り口が入っていると仕上がりが自然な軽さに仕上がることができます。

また、セルフカットで髪の毛の量を知るために、一度髪をシャンプーしてそのあと乾かします。乾かす時にスタイリングしながら乾かします。いつものスタイリングをしておくことで髪の量を減らしたい部分が分かりやすいと思います。

濡れている時では、髪の毛をどの部分を軽くしたらよいのか分かりにくく、すく量も分かりにくいです。

面倒ですが、乾いた状態で髪をカットしたので再度軽くシャンプーして最終的に整えていきます。

美容室でオーダーする場合は、「軽くなるようにすいてください」と大まかに言うよりも「髪の毛が広がりやすいので、まとまり良く見えるように軽くしてください」というような、具体的に伝えるようにしましょう。

美容師さんの中でも髪の毛の量をすくのを、毛量調整としてすくのか、ただ減らすためにすくのか、で仕上がりのイメージが違ってしまいます。結果、こんなにすいて欲しくなかったのに・・・と残念な結果となってしまいます。ですので、美容師さんとよく相談をして心配だったら、時々確認させてもらうと良いでしょう。

すいた後の髪でパサついたり広がったりする髪を整えるために、スタイリング剤を上手く使っていきましょう。

特にパサついてしまった髪には、ヘアオイルがおすすめです。

ヘアオイルは、傷んでしまった髪の毛の表面をコーティングして熱や摩擦によるダメージから守ってくれる働きがあります。ヘアオイルでコーティングをすることで髪のパサつき、広がり、くせ毛を抑えてくれてスタイリングにも役立ちます。

また髪の毛の長さによりますが、髪の毛をすいた事で髪の毛に動きを出すことができるので、オイルでパサつきを抑えてその後ワックスやムースなどで固定できるスタイリングで仕上げることもできます。

髪の毛を「すく」というのは、髪の毛を軽くすることが目的なのですが、毛先を軽くする、シャープな感じを出したいという時に、”レザー”を使用する場合もあります。

レザーが嫌いだというお客様も中にはいらっしゃいますが、昔のレザーから変化しておりとても滑らかな切れ味なので、痛むこともそれほどなくカットすることができます。

すきバサミでは表現できない仕上がりが期待できる道具と言えます。

ヘアスタイルを素敵に仕上げるために、髪の毛を「すく」ことがあります。また似合わせるための必要なテクニックでもあると言えます。

「すく」時の必要な場合は自分の髪の毛量や仕上げるスタイルに合わせて行い、メリット、デメリットを理解しておくと美容師さんへのオーダーもしやすいのでは?と思います。

髪が痛まないように仕上げることはもちろん、お手入れが楽で毎日がウキウキできるヘアスタイルであってほしいですね。

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